自筆証書や公正証書といった言葉はお聞きになったこともあるかと思います。
自筆証書遺言
- 費用がかからない。 自由に何度でも作成できる
- 形式上の条件を満たしていないと、法的に無効になってしまう (例:「パソコンで作成して、署名部分だけ自筆」は無効です!)
- 紛失、盗難等の可能性
- 亡くなった際には、家庭裁判所の「検認」という処理が必要 (たとえば銀行などに持って行っても使えない)
公正証書遺言
- 法的有効性、安全性が確保される
- 検認が不要で、すぐに相続処理ができる
- 費用と手間がかかる
- 関連する書面の準備(関連者の戸籍、固定資産評価額証明書、金融機関残高証明等)
- 公証役場手数料
簡単に言ってしまうと、公正証書遺言のほうが、遺言作成時に手間をかけた分、遺言執行時がスムーズということになります。
ただし、たとえ公正証書遺言であっても、「内容」を考えるのは基本的にご自身です。 また「遺言を執行する際の推進者」(遺言執行者といいます)を決める必要があることは変わりません。
「家庭裁判所の検認」不要で、すぐに相続処理を開始できる公正証書遺言ですが、そのとおりに色々な手続きが進まなければ残されたご意思は実現できません。
金融機関等での手続きにおいては、通常遺言執行者を定めてない限り、「他の相続人全員の協力(例:印鑑証明書の提出による合意意思の提示)」が必要となり、いざというとき、ここで揉め事が発生する可能性は少なくありません。
法律的には、遺言執行者は指定しないでも遺言は作成できます。
しかし公証人の先生からは「決める必要があります」とほぼ「必須事項」として助言を受けると思います。 この理由は上記に述べたように、法的有効性を確保するための公正証書遺言なのだから、その長所を活かすためには遺言執行者が強く望まれるからです。